—— 画一的な治療ステップを排し、
生体調和をサポートするための動的アプローチ
当院が実践する「Umweltzahnmedizin(環境歯科医学)」の本質は、あらかじめ決められた流れ作業としての治療工程を受診者に強制することではありません。受診者お一人おひとりの訴え、ならびに潜在的な身体の徴候を見極め、必要に応じて以下の臨床検査と咬合・骨格の不調和に関する精査を柔軟に組み合わせて、不適当と考えられる因子を特定し、これを排除へと向かいます。
包括診療においては、まず事前にお送りする「事前診査問診票(書面)」によって、これまでの詳細な治療経緯や全身状態を丁寧にご記入いただき、ご返送いただくステップを必須としております。ご返送いただいた問診票を基に、環境歯科医学の見地から、これまでの病歴とお体の状態のつながりを慎重に検証いたします。
初回来院時は、口腔内全体の現状を客観的に知るための診査、およびお体の状態を紐解くための詳細な対話(お話)を丁寧に行います。安全性の確保と、お一人おひとりの体質に合わせた綿密な診断を徹底するため、当日の抜歯や歯科切削処置といった治療行為は一切行いません。まずは個々の病態に応じた最適な臨床検査計画を立案することに専念します。
画一的な治療にとどまらず、お一人おひとりの体質や状態に合わせた医療を提供するため、受診者の生体防御システム(神経・内分泌・免疫系)の状態に合わせて、個体内における酸化ストレスやミトコンドリアの機能不全などを精査して、免疫系が全身に与えている状況を客観的に評価します。その上で、以下の客観的データに基づくアプローチを行います。
歯科材料に対する生体適合性の評価
個々の遺伝的素因(遺伝子多型)によって、歯科材料から放出される微量な化学物質や局所刺激に対する過敏反応の度合いは大きく異なります。慢性的な不調や局所的な炎症リスクを未然に防ぐため、必要に応じて精密な臨床検査(リンパ球形質転換試験や特異的抗体検査など)を実施しています。客観的なデータに基づいて現在の体内における潜在的な免疫応答を評価し、お一人おひとりの体質に配慮した、より適合性の高い歯科材料の選択に役立てています。
口腔内金属が与える影響評価と安全な除去プロトコル
口腔中に複数の異なる金属(クラウンやインレーなど)が存在する場合、微弱な電流(ガルバニック電流)が発生したり、経年変化によって金属イオンが溶出したり損耗したりすることがあります。これらが全身の粘膜や皮膚の健康状態、体内のバランスに与える潜在的な影響について、客観的なアプローチで慎重に評価を行っています。
診察の結果、金属の除去が必要と判断された場合は、水銀を含むアマルガムなどの取り外しにおいて、患者と医療従事者の双方の安全に配慮した厳格な防護隔離プロトコルを遂行します(写真はアマルガム除去時の風景)。
高分子歯科材料における成分への配慮とマテリアル選定
使用する有機複合材料(コンポジットレジン等)の構成成分にも着目しています。プラスチック素材の経年変化や摩耗に伴い、ビスフェノールA(BPA)などの微量な化学物質が溶出する可能性を考慮し、生体への潜在的な影響を慎重に評価しています。
単に見た目が白い材料を選ぶだけでなく、将来的な健康維持や身体への優しさを第一に考え、必要に応じて事前の生体親和性チェックを実施。お一人おひとりの体質やご希望に合わせ、ジルコニア製のベニア、クラウン、インプラントなど、より安定性と生体適合性に優れた代替マテリアルを選定・ご提案しています。
腸内環境および栄養バランスの総合評価
口腔環境の悪化につながる全身性リスクを把握するため、当院では必要に応じて腸粘膜バリア機能(リーキーガットに関連する評価)や、ビタミンDをはじめとする微量栄養素のバランスを総合的に確認しています。お口の中と全身のバリア機能の相関性を客観的に評価することで、より精密で持続性の高い歯科治療計画の立案に役立てています。
顎口腔の慢性病巣と全身の健康評価
過去の根管治療歯(根の病巣)や慢性歯周病は、自覚症状がなくても細菌由来の毒素や炎症物質が血流にのり、全身の免疫バランスや慢性炎症に影響を与える一因となります。
当院では、歯科用CTの3次元画像と、体内の微細な炎症を捉える「高感度CRP検査」などの客観的データを総合的に分析。病巣の広がりや全身への関与を慎重に評価し、大切な歯を残せるかどうかも含めて、論理的な治療計画をご提案いたします。
顎骨内の精査(FDOK/NICO)
自覚症状や通常のレントゲン写真だけでは確認が難しいとされる、顎骨(あごの骨)内部の慢性的な病変(FDOK/NICO:脂肪変性性骨溶解)について、歯科用CTを用いた画像診断や、特定の血液検査による評価を行っています。診断の結果、病変が認められ、かつ外科的な適応があると判断した場合は、周囲の組織や生体への負担に配慮した外来手術による除去を行います。
噛み合わせのわずかなズレや口腔内への物理的な刺激は、頭蓋骨や頸部、肩の筋肉群に持続的な負担(構造的ストレス)をかける一因となることがあります。そこで、口腔内を起点とした全身の骨格やバランスの調和を重視した精密な診察を行っています。
長年培った知見に基づき、顎関節や周囲の筋肉、神経系への影響を多角的に分析。お一人おひとりの状態に合わせて噛み合わせの微調整や適切な処置を行い、身体にかかる構造的なストレスを和らげ、全体の調和を取り戻す治療計画をご提案いたします。
必要に応じて選択・実施した各種臨床検査や、咬合・骨格の不調和に関する精密な診査結果に基づき、お身体への負担やストレスを抑えるための具体的な「包括治療計画」を決定いたします。
初回のカウンセリングと丁寧な診査・診断を経て、患者様一人ひとりの生体調和と全身の健康維持を目指す、具体的な処置プロセスへと進めてまいります。ご不安な点やご要望がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。